6.対策本部としての事前の備え(注12) 

 居住者にとって住戸内のリスク低減と備蓄という事前の備えが重要なように、対策本部としても事前の備えが重要である。

 

注12) 脆弱性対策、アンケート、セミナー/会合、訓練について、改正後のマニュアルの意図が居住者に浸透していく程度に応じて、順次文書化してゆき、次新年度の活動計画に盛り込んでいく。

 

(1)当パークシティの脆弱性の調査と改善

a)津波浸水・内水浸水・高潮(注13)による電気系統の障害

外壁及び階段入口のコンセント、管理センター(非常電源、火災監視盤・放送盤)、B棟ポンプ室(給水ポンプと消火ポンプ)、各棟主幹盤室及び変電設備室。管理センターを優先。

b)非常用発電機・マンホールトイレ用発電機の軽油の保管場所(200リットル未満)

c)排水竪管の耐震化

d)一斉放送の代替手段:

地域の防災スピーカーの音声は当パークシティに届かない。管理センターからの一斉放送は停電時も可能だが、屋外、階段、プレイルームには一斉放送が届かない。さらに津波・内水浸水によって管理センターの放送盤が浸水すると一斉放送できなくなる。

- LINEオープンチャットの試行(47ページ)

e)横浜市の家具転倒防止対策助成事業の利用促進

 

 注13) 当パークシティが津波で浸水する海溝型地震(M8クラス、震源地:相模湾中央~房総半島南端沖)の切迫度は諸説ある(※1)のに対し、内水浸水は 1999年に千葉県香取市で観測された時間降雨量153mmを元にしたもの。高潮は2019年に房総半島を襲った台風15号による高潮被害を踏まえたもの。地球温暖化により台風が関東圏に直接上陸するケースが増える。まずは20cm~50cmの浸水があっても、管理センターの非常電源、火災監視盤、放送盤、並びに、ポンプ室の消防ポンプの機能が維持されることを目指す。

 

(2)アンケートの実施(防災セミナーより前に実施)

a)要援護者マップ(避難行動要支援者・要配慮者)、日本語に不自由な外国人(注14)

b)防災アンケート(住戸内の防災状況)(注15)

(目的)居住者の状態について以下の点を把握して、対策に反映させる。

・どんな事態が起こりうるか認識不足なところを把握

住戸内のリスク低減策と何をどれだけ備蓄するのかの進捗状況を把握

何を用意しておくのか、どう行動するのか、何を助け合うのか分からない点、不安な点を把握

その他居住者が対策本部に求めていることを把握

震災時対応に必要な人材を把握(注16)

 

注14) いずれ震災マニュアルほかの文書を英語化すること。

注15) 横浜市民の防災・減災の意識、取組に関するアンケート調査報告書(横浜市総務局危機管理室)、マンション防災に関するアンケート調査」結果について(江戸川区マンション協議会)

注16) 「震災時対応に必要な人材」については個人情報の問題から事前に把握するには限界がある。「対策本部としての事前の備え」という取り組みの中で、自ずと必要な人材との関係構築が進むとよい。

 

(3)防災セミナー/会合(防災訓練より前に開催)

 a)居住者向け

- 震災マニュアル第1編の説明会(住戸内の危険転倒防止、避難生活と備蓄)

 b)対策本部メンバー向け

-震災マニュアル第2編の説明会

- 分担調整会議(注17)(統括グループ内、各棟階段グループ内の役割分担の仮決め)

 

注17) 統括グループは新組織発足後になるべく早くマニュアル説明会・分担調整会議を開催。各棟階段グループは6つあるので全員が1か所に集まれない。まず自治会新役員と各棟幹事長だけで全体会合を持ったのち、各グループごとの会合は自衛消防訓練の前後に各棟第1階段前に集まるイメージか・・・。

 

(4)想定シナリオに沿った訓練

 a)対策本部メンバー向け

- 管理センター業務の代替(電話対応、一斉放送、火災警報の誤作動かどうかの確認、初期消火の応援、ゲートの開閉(注18)

- 停電時の津波情報の入手

- 統括グループと各棟階段グループの間の情報伝達、LINEオープンチャットの試行

- ホース付き屋内消火栓(11階より上)の操作訓練(注19)

- テント、待避所、マンホールトイレの設営訓練

 

注18) 停電中のゲートはどうするか?

 

注19) 大地震時に11階以上で火災が発生したら、11階以上に備え付けられている消防ホースを対策本部側で操作すべきか? すべきなら消防署員に教えてもらう。

 

 b)居住者向け

- 安否確認ステッカーの貼り出し

- 在宅避難を想定した訓練;一斉放送と事前配布した震災アンケートを使って、地震発生時の対処方法と事前の備えをチェック。

- 火災発生時の避難訓練

- 消火訓練(消火器の使用期限の確認と操作)

- 自宅トイレを非常用トイレにする方法(添付(NHKトリセツ)を参照)

- 排水竪管からの汚水漏れ、浴室と洗濯機バンからの汚水の逆流の点検(4.2 b)