8. フェーズ毎の行動基準
8.1 震災発生からの活動の流れ
表1 震災発生からの救援活動の流れ(概要)
フェーズ | 安否確認・救援・避難生活 | ライフライン |
「震災直後」 震災後1日目 |
・居住者それぞれで震度情報・津波情報の入手 ・対策本部の発足 ・居住者からの出火・負傷・水漏れ・ガス漏れの通報への対応(初期消火・避難誘導) ・安否確認(一巡目)、負傷者の救護、要援護者の避難支援 ※停電中は管理センターで火災・ガス漏れの監視ができないので、一斉放送で居住者同士の火災等の監視と救援を求める |
・給水ポンプ停止中は、水道使用を控えるよう放送 ・水漏れ・ガス漏れがあったら玄関先メーターボックスの水道・ガスの元栓を閉める ・水洗トイレほか排水いっさいの禁止/非常用トイレの設置支援、備蓄している簡易トイレの配布
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「ライフライン 復旧期」 震災後2~3日目 |
・安否確認(二巡目)
・丸二日経っても安否確認できない住戸について親族に連絡 ・棟ごとの集会所の設置・定時運用 ・負傷者・要介護者のための待避所の開設 ・備蓄品の提供、給水の開始 |
(地域の停電が回復したら) ・通電火災への警戒を一斉放送 ・ブレーカーが落ちた住戸では漏電等の原因を取り除いてからブレーカーを上げる ・給水ポンプを再起動。・エレベータは閉じ込め事故等があった場合を除き、運転を再開(遠隔) ・給水ポンプの運転を再開したら、最小限の水道使用と糞尿を除く生活排水をバルコニーの排水口に流すことを解禁 ・ライフラインの状況を全戸調査 ・共用部の漏電ブレーカーが落ちた棟の修理依頼(全住戸の停電が長期化) ・浴室・洗濯機バンへの汚水逆流、排水竪管を囲む壁・床・天井からの汚水漏れの点検を継続。 ・必要最小限の生活排水をバルコニーの排水口に流すことを解禁 ・地震発生後24時間経っても汚水漏れ通報のない階段の住戸では、水道の復旧次第、最上階でバケツ洗浄試験 |
「被災生活期」 震災後3日目以降 (可能な限り前倒し) |
・マンホールトイレの設置
・要介護者は福祉避難所に移動。 ・延焼した居住者、停電/排水禁止が長期化する居住者のための避難生活場所の確保、越境避難の推奨 |
・水漏れのあった住戸を除き、水道を解禁。 ・下水道の流れが良好なら、水道復旧後に1階のみ水洗トイレほか一切の排水を解禁 ・汚水逆流/汚水漏れがあった排水竪管にかかる全住戸で排水禁止を継続(長期化) |
表2 ライフラインの点検と復旧(詳細)
居住者(各棟階段グループが支援) | 統括グループ(管理センターに設置) | |
電気 |
①周辺地域の停電が復旧しても自宅の停電が復旧しない場合は、自宅内のブレーカーを点検。 ②短絡の原因を除去してからブレーカーを上げる。 ③復旧しなければ管理センターに通報
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①停電で給水ポンプが止まったら水道の使用を控えるよう一斉放送。 ②周辺地域の停電が復旧したら、給水ポンプの運転を再開。 ③階段全体が停電のままなら、各階段1階SK室のブレーカーを点検。 ④復旧しなければ修理業者を手配 ⑤エレベータは閉じ込め事故等がなければ運転を再開 |
ガス |
①震度5強以上でガスが自動停止した場合は各住戸で復旧。 ②ガス漏れ警報が鳴るか、異臭あれば、自宅玄関先のメーターボックス内の元コックを締め、管理センターに通報
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①ガス漏れ警報が鳴るか、ガス漏れ通報があれば、修理を手配 |
水道 |
①震度5強以上で水道の使用を控える
②水漏れ目視/水道メーターで水漏れ確認したら自宅玄関先メーターボックスの水道元栓を締め、管理センターに連絡 ③その他の住戸は、給水ポンプが再稼働した時点で最小限の水道使用が解禁。 |
①震度5強以上で水道の使用禁止を放送。 ②停電でポンプ室の給水ポンプが停止 ③地域の停電が回復したら、給水ポンプの運転を再開。 ④最小限の水道使用と少量の生活排水のバルコニーから捨てることを解禁。 ⑤排水の解禁でもって、水道使用を全面解禁 |
排水竪管 ・ 下水道 |
①震度5強以上で自宅水洗トイレに非常用トイレをセット (液状化現象あり) ②一階住戸は浴室等の排水口を点検。逆流があれば管理センターに通報 (下水道で下水の滞留なし) ③2か所の排水竪管周りを点検、異常があれば管理センターに通報、 ④バケツに溜めた少量の生活排水はバルコニーから捨てる。 |
①震度5強以上で一切の排水禁止を放送。 (液状化している場合) ②液状化している箇所のマンホールを点検し、流れていれば1階住戸での排水を解禁。滞留している場合は当該階の住戸で排水を禁止。修理業者を手配 ③地震発生後24時間経っても汚水漏れ通報がない階段では、水道の復旧次第、14階でバケツ洗浄試験を実施。 ④さらに24時間経っても汚水漏れ通報がない階段は水洗トイレ使用ほか排水を解禁 |
※1:集合住宅の「災害時のトイレ使用マニュアル」作成手引き(日本トイレ研究所)